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────────────────────────  2005年1月25日  第22号
┌──────┐┌┐
│ ┌──┐ │└┘  ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』
└┬┘  │ │        〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?!
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▼ 目次
    ●ごあいさつ
    ●1台のミシンで何でも縫える?

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 ■ごあいさつ
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  いつもご愛読いただいているみなさん、こんにちは!
  今回からお読みいただいているみなさん、はじめまして!
  そして今さらながらこれを言うのは、かなり勇気がいるのですが(汗)、
  あけましておめでとうございます。
  島田ミシン商会の嶋田栄司です。
  数あるメルマガの中から選んでいただき、ありがとうございます。
  本年もどうぞよろしくお願いします。

  このメールマガジンは、
   これからミシンを購入したい、
   ミシンのことをもっと知りたい、
   もっと上手に使いこなしたい…

  そんなホームユーザーのあなたが、誤った知識で後悔しないように、
  ミシンの嘘・ホントの解明を通して、ミシンの常識や活用のヒントをお伝
  えしていきます。

  このメールマガジンが何かの役に立って、今まで以上にホームソーイング
  を楽しんでいただけたら最高です。
  気に入っていただけましたら、お知り合いに転送してすすめてくださいね。

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 ■ 1台のミシンで何でも縫える?
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  工業用ミシンの組立工場では、最初は骨格しかないミシンが流れてきます。
  私が居た頃は、ひとつのミシンを何人かで分担して、それぞれ部品を付けて
  組み立てていました。

  たいていは、持ち場の前に棚があって、そこにある部品を順次組み付けてい
  きます。同じような部品も置いてあるのですが、流れてくるミシンでちゃん
  と部品を取り分けていました。

  どうやって見分けているかというと、第一工程でミシンに打ち付ける銘板
  (ミシンの型番などが記載されたもの)で行うのだそうです。その銘板には、
  メーカー名やシリアル番号と一緒に、「class」と書かれたものがあり、そ
  の横には何やら記号ばかりが並んだ文字が書かれていました。

  例えば、「MO-3914-BD6-347」なんて書かれているわけです。次に流れてき
  たミシンには、「MO-3914-DF6-50G」とまったく違うことが書かれていたり
  します。

  工場の人は、この暗号のようなものだけで部品を取り分けながら、組み立て
  ていきます。取り付ける部品が違うことは見ていて分かりましたが、組上がっ
  ているミシンを見る限り、なんの違いも感じません。

  何のこっちゃわかりませんでしたが、実際にラインに入って作業を始めると
  き、この暗号の意味を教わりました。
  そのミシンの正確な状況を表した名前(クラス名)だったんです。


 ◆ 暗号に見えたのは、各ミシンの正式名称

  「MO-3914-BD6-347」だと、「MO-3900シリーズ(MO-39)」の「2本針オーバー
  ロック(14)」で、「針幅が2mm(B)」で「かがり幅が3.2mm(D)」、「送
  り歯の列数は3列(6)」で、「薄地から中厚地用(3)」、「テープ入れ仕
  様で(4)」、「上ールーパーハイリフト仕様(7)」という意味なんだそう
  です。

  それぞれの数字や記号は、ちゃんと意味を持っていて、それぞれが表す仕様
  があり、その組み合わせで外観は同じで内容が違うミシンが何種類もあると
  いうことでした。

  一覧表を見ながら、取り付ける部品が違うことは分かりましたが、やけに種
  類が多いですし、どう違うのかさっぱり分かりませんでした。


 ◆ 専用ミシンがさらに細分化されている

  特殊ミシン組立課に行ってみると、外観が明らかに違うミシンが何台も並ん
  でいて、それぞれが何らかの縫いの専用ミシンであることがわかりました。
  しかも、それにも同じように、細かく長ったらしい名前が付いています。

  暗記がとにかく苦手な私は、これを全部覚えないといけないのかと思うと、
  もう目の前が真っ暗でした。(その後、ゲージマニュアルというものが存在
  することを知り、安心しましたが…)

  そもそも、なんでこんなにたくさんの種類が必要なのかわかりません。
  TVショッピングなんかで家庭用ミシンの宣伝を見たことがありますが、厚物
  から薄物まですいすい縫えると言っています。
  「ひょっとして、家庭用ミシンのほうがよっぽど優れてるの?」とさえ思い
  ました。


 ◆ なぜ、こんなに細分化されているのか

  率直に、なんでこんなに種類があるのかと主任に聞いてみると、
  「だって、こんなぺらぺらの生地と、デニムを一緒に考えるにはいかないじゃ
   ない」と…。

  薄い生地に余計な力を掛けると生地を傷める。生地が厚いのに力がないと生
  地は送れないし、針が貫通しない。それに余分な機能が加わったことでスピー
  ドを上げられない。そうすると生産性も落ちる。無用な機能が加わって割高
  になっても売れない、というのです。

  縫う素材や目的に合わせて、最適のミシンが存在していて、しかも状況に合
  わせて、適切な部品選択や調整ができているから、キレイに縫えるのだと言
  うのです。

  でも、家庭用ミシンなんかは1台でいろいろできるって言ってるわけだし、
  ジグザグミシンも振り幅を0にすればいっしょのことだし、割高でも2台分
  の働きをするならそれでもいいような気もします。というか、そのほうが便
  利そうで売れるようにも思うんですが…。

  すると今度は、
  「家庭用ミシンは1台の中にいろんな縫い目があるけど、何でも縫えるわけ
   じゃない。ほんとはこっちがいいけど、それだと何台もミシンを持たなけ
   ればいけない。ミシンは高価だから、何台も持てない人も多いんだ」と。

  なんでも大昔のミシンは家が買えるほど高価で、日本で最初にミシンを輸入
  した人は、縫製機械として使わずに、見せ物にしてお金を儲けたそうです。

  でも、今は1〜2万でもあるじゃない?
  高い物はめちゃめちゃ高いらしいし、何が違うのかよく分かりません。
  なんとなく矛盾さえ感じました。


 ◆ なんで家庭用は1台で何でも縫えるように言うの?

  「部品だってピンキリだよ。同じ事をしていても、精度が高く、材質が良い
   ものを使うと当然高くなる。家庭用の場合、商品の価値以上に高く売る商
   売があるけど、それは別にしても、意味もなく値段が付いているわけじゃ
   ない」
  「工業用の場合は使用頻度も違うから、耐久性もなければいけない。すぐ壊
   れては仕事にならないし、そんなミシンしか作ってなかったら、一気に信
   用を落とすよ。」

  個人個人において、皆が高価な物が必要ではないし、このあたりで十分とい
  うこともある、というのである。工業用だって廉価版があるんだからと。


  確かに工業用と家庭用を同じように考えてはダメなのかもしれませんが、
  いくら工業用だからといって、こんなに細分化する必要があるのか、どうに
  もわかりませんでした。

  当時の私は縫製経験も現場経験もありませんでしたから、何とも腑に落ちな
  い話なのです。

  そんな顔をしていると、
  「家庭用ミシンなんかは、市販されてる風邪薬と一緒だよ。
   病院でもらった薬のほうが効き目があるし、
   あれにもこれにも効くという薬は、結果、何も効かないことがあるでしょ。
   やっぱり、頭痛には頭痛薬が効くし、咳には咳止め薬。
   一つにまとめると、どこかで削らなきゃならないし、無理もでる。」

  「あれもこれも欲張りたいし、そう言うミシンを作りたいけど、現実はそう
   はいかないんだよ。それは工業用でも同じ事なんだ。」

  なんといってもミシンは後追いで、素材が先にあり、その素材は日進月歩。
  ミシンが先にあって、それに合わせて素材が決まるんじゃないから、と言う
  のです。それに、それをするのが(ミシン屋としての)私の仕事だとも言わ
  れました。


  ひとまず、それもそうかなぁと何となく納得しました。
  しかし、漠然としていたというか、ほんとかなぁと実感できずにいたのが正
  直なところでした。

  私が納得できるようになったのは、JUKI(株)での委託研修期間が終わり、
  ミシン屋になって、何件か修理を経験してからでした。

                                …つづく


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ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』
 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?!

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編┃集┃後┃記┃
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  何を隠そう、私は読書が苦手で、子供の頃からあまり本を読みませんでした。
  読んだなぁと思うのは星新一と江戸川乱歩、荒馬と是馬シリーズぐらいで。
  ですから、有名な本のタイトルを聞いても、内容がさっぱり思い出せず、
  そもそも読んでないので、思い出せるはずもないのですが…。

  一昨年ぐらいから、(隣に図書館があるので)いわゆるビジネス書をたくさ
  ん読んだんですが、これにも飽きてきて、昨年は気に入った本を何度も見返
  したり、「BURRN!」とか音楽雑誌を読んでばかりでした。

  そんな私ですが、ふと「小説が読みたい」とか考えはじめまして。
  ハリーポッターでも読もうかと思ったんですが、「映画は見たし」と読む気
  が起きず。そうこうしているとき、知人に小野不由美の「十二国記」を紹介
  され、お正月に読み始めたら、めちゃめちゃはまりまして。
  外伝も含めて一気に読んでしまいました。

  わけもわからないまま異世界に放り込まれて、これでもかと言うぐらい裏切
  りに合うのですが…(語りはじめると長いので以下略)

  …ようするに、小説の中から、いろんな考え方や生き方のヒントが得られる
  んだと、この歳になって気付いた次第です。

  「十二国記を読んで共感したのなら、これがおすすめ!」みたいな本があっ
  たら、ぜひ教えてくださいませ。


  今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
  次回は、2月22日の発行予定です。
  それではまた。
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