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──────────────────────── 2003年11月11日  第6号
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│ ┌──┐ │└┘  ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』
└┬┘  │ │        〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?!
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▼ 目次
    ●ごあいさつ
    ●JUKIの自動糸調子開発秘話【1】

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 ■ごあいさつ
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  こんにちは。
  そして今回からお読みいただいているみなさん、はじめまして。
  もう11月だと言うのに、ざるうどんを食べてしまった
  島田ミシン商会の嶋田栄司です。
  数あるメルマガの中から選んでいただき、ありがとうございます。

  このメールマガジンは、
   これからミシンを購入したい、
   ミシンのことをもっと知りたい、
   もっと上手に使いこなしたい…

  そんなホームユーザーのあなたが、誤った知識で後悔しないように、
  ミシンの嘘・ホントの解明を通して、ミシンの常識や活用のヒントをお伝
  えしていきます。

  このメールマガジンが何かの役に立って、今まで以上にホームソーイング
  を楽しんでいただけたら最高です。
  気に入っていただけましたら、お知り合いに転送してすすめてくださいね。

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 ■ 本編記事を読む前に
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  家庭用ミシンのカタログでよく見かける「自動糸調子」機能。今ではすっか
  りポピュラーな機能になりました。

  ミシンを難しく感じるポイントの一つが糸調子のことですから、機種選定の
  際に重要視されている方も多いのではないでしょうか。

  最近は10万円以下の価格帯のミシンでも「自動糸調子」がついていたりしま
  す。ですから、20万、30万するミシンでも、「『同じ能力の』自動糸調子」
  がついていると思っても不思議ではありません。

  カタログ上の表記は同じですが、中身も本当に同じなんでしょうか?

  この事をうまく伝えられる資料を探していたところ、JUKI(株)さんから社
  内報に掲載された記事を教えていただきました。

  そこで今回から2回に渡って、JUKI(株)さんのご厚意で、この記事をご紹
  介させていただきます。その後で、他のミシンの自動糸調子機構がどうなっ
  ているか、どう違うのか、なんかをお話しできればと思います。


  さて、この記事の元ネタのタイトルが「JUKI版プロジェクトX」という事で
  したので、それ風(?)に脚色して要約してみました。


  それではまず、中島みゆきさんのヒット曲「地上の星」をご用意ください。
  必需品です。
  持っていない人は、とりあえず鼻歌でも歌ってみましょう。
  ついでに、田口トモロヲ氏になった気分で…

  「『プロジェクトX』ってなんじゃ?」と言う人は、
  今晩、国営放送を見ましょう。
  実は、このネタのために火曜日発行にしたんですから。
  (なーんて、ウソです 笑)


  前置きが長くなってしまいました。早速いってみましょう。

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 ■ JUKIの自動糸調子開発秘話【1】
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  1976年、シンガー社が世界初の家庭用コンピューターミシンを発売した。

  当時はカムと呼ばれる装置で機械的に針などを動かして模様縫いをしていた。
  そのため、模様縫いの数に制限があった。そこにマイコンを使い、モーター
  で針振り制御し、模様縫いの数も格段に増えたコンピューターミシンは業界
  に大きな衝撃を与えた。


  JUKIもシンガー社の特許に触れないよう、国産電機メーカーの特許を使って
  試作した。しかし、コストが高く、スペックも低かったため商品化を断念せ
  ざるを得なかった。

  折しもマイコンは家電製品に多く使われ始め、大量生産でマイコン部品の値
  段が下がっている時期だった。国内他社からもコンピューターミシンが発売
  され、JUKIは高級機種の売上が半分以下に落ち込んだ。


  JUKIではすでに、自動針穴糸通しや自動糸切りなど、使いやすさを意識した
  新機構を搭載していた。しかし模様縫いではもはや、先行他社に追いつけな
  い。

  「将来のミシンはどうあるべきか?どうしたいのか?」

  議論の末、『身近に感じて、手足のように使えるミシン』を基本コンセプト
  においた。

  過去の記録はもちろんのこと、新たに数百名のモニターを設け、徹底的に聞
  き取り調査を行った。その結果、「糸調子を合わせるのが面倒」という声の
  多さに改めて気付かされた。


  当時、ミシンの夢とされた技術は「下糸の無限供給」と「自動糸調子」の2
  つだった。

  「残された道はこれしかない!」
  夢の技術のひとつ、「自動糸調子」への挑戦が始まった。


  従来の糸調子は、2枚の金属製のお皿をバネで押しつけ、その間に糸を通し、
  その抵抗力で上糸と下糸のバランスを取り、美しい縫い目を形成していた。

  最初、「縫いはじめの摩擦力を自動的に計り、それに応じて2枚のお皿を押
  さえつける力を制御すれば最適になるのではないか」と考えた。試作機を作
  り、実験を行った。

  ある程度はカバーできた。
  しかしバラツキが多い。
  摩擦抵抗で制御する方法は、大きな壁につきあたった。


  次に採用したのは、上糸を1針ごとに、必要な量を繰り出す方法だった。

  上糸と下糸が、布の真ん中で結節されればキレイな縫い目になる。
  「1針ごとに、送り量と布の厚さ分の上糸を繰り出せばよいのではないか」
  と考えた。

  確かに1針に使用する糸の長さは、縫い目の長さ+布の厚さになる。
  とはいえ、今まで上糸と下糸の張力バランスで美しい縫い目を作っていたの
  だ。この方式で可能なのか、疑問は残った。

  早速、モーターで一定量の糸を繰り出す装置を試作して実験を行った。
  標準的な布と糸の組み合わせでは良い結果が得られた。

  しかし、他の布と糸の組み合わせで縫い品質が安定しなければミシンとして
  使えない。いくつもの組み合わせで縫い品質を調べる日が続いた。


  縫い品質の検証は品質保証部の仕事だった。
  従来の糸調子機構はすでに何十年もの歴史があり、評価方法もほとんど完成
  していた。新しい機構には、今までの評価方法が通用しない。

  担当者は頭を抱えた。

  約200種類の布を買い込み、厚さや弾力性などで約30種類に分類した。Gパン
  の縫製に使う20番の太い糸から、100分の5ミリの細い糸まで問題がないか、
  「縫って、ほどいて、上糸と下糸の長さを測る」実験を繰り返した。

  「自動糸調子が使えなければミシンじゃない」
  「自動糸調子がダメなら明日はない」
  黙々と縫って、ほどいて、糸の長さを測る作業を繰り返す日が続いた。

  その結果、膨大な実験によるデータから、1針ごとに必要な長さの糸を繰り
  出すことで、美しい縫い目ができることが検証できた。

  しかし、「問題児」がいた。
  1種類だけ、どうしても切れてしまう糸があったのだ。

                             <次号に続く>

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ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』
 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?!

【発行者】島田ミシン商会 嶋田栄司
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編┃集┃後┃記┃
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  今回の記事執筆にあたって、懐かしい出会いがありました。

  JUKI(株)さんの社内報をつらつら見ていると、
  ボクが縫製能率研究所(元・縫製研究所)にいた頃、いろいろ教えてくださっ
  た先輩諸氏が載ってるんですよね。

  社内報なんで家族写真なんかもあり、
  「あぁ、先輩のとこの子、こんなに大きくなってるんや」
  「そういや、あの頃、奥さんのお腹が大きかったっけ」
  みたいな感じで懐かしさ爆発でした!

  記事引用の承諾をいただこうと、担当者の名前を見ると、
  これまた見覚えが…

  おかげで予想よりもスムーズに承諾が得られました。

  こんな形で再会を果たすとは。
  なんとも懐かしく、うれしい瞬間でした。


  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
  次回は11月25日の発行予定です。ではでは。
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